愛國運動・思想・宗教 其の六
「富田メモ」を斬る ! !
「富田メモ」が日経に掲載されて二十日近く経つ。各方面の反応を見るに靖國反対派(ここでは便宜上A級戦犯分祀派を靖國反対派、A級戦犯=昭和殉難者派を靖國賛成派と称する)は鬼の首を獲ったように「富田メモ」を引用している。それに反して靖國賛成派は当初戸惑いからか反応が鈍かったが、「富田メモ」の問題文の上の段落に「藤尾文部大臣」の字を見つけて以降、あれは昭和天皇のお言葉ではないと逆襲に出ているが、旗色は靖國賛成派に不利だ。上の段に藤尾の名前があっても問題の発言との間には一行ほどの余白がある。メモである以上、ここで藤尾の発言は途切れていると解すべきである。それを靖國賛成派は大した検証もせずにニセモノと飛びついている。挙句の果ては日経が親中派の経済界の意を汲んで云々と・・・。
しかし待てよといいたい。昭和天皇の発言に右往左往すること自体が、未だに賛成派も反対派も現人神天皇に縛られているということだ。どちらも歴史を正しく検証する姿勢とは程遠い。昭和天皇独白録を錦の御旗のように取り上げ続けてきた者達も然り・・・。
大東亜戦争敗戦で終わる昭和前期の総括に、大元帥陛下であった天皇に責任があるということに、もう観念して直視すべき時だと、賛成派も反対派も気付くべきだ。特に賛成派は占領下の東京裁判を否定しながら占領下に作り上げられた軍部責任・軍部悪者論を土台にするのは自己矛盾というものだ。軍を統括していたのは天皇だ。二・二六事件の時の昭和天皇の絶大な鶴の一声が日本の方向を誤らせた第一歩だ。天皇はこれに懲りて二度と口出ししなかったという虚構の上に大東亜戦争の総括をするべきではない。四日の日にNHKで東京大空襲の国家補償の訴訟特集をしていたが、原告の陳述書に「終戦がもう半年早ければ、東京大空襲も原爆もなかった。」とあったが、その通りなのだ。紛れもなく半年前の昭和二十年二月初め、つまり一月にフィリピンが陥落して硫黄島戦が始まる前、最高戦争指導会議筋から近衛を通して終戦の打診が昭和天皇に行われた。この時に天皇は「もう一度戦果を挙げてからのほうが有利な講和が出来るのではないか」と言った。この事実は昨夏イギリスのBBC放送で紹介され、また先に私が紹介した本「明仁さん、美智子さん、皇族やめませんか」のP134でも触れられている。
この文言を見ただけでは「天皇はごく当たり前の希望を述べただけではないか」という向きもあると思うが、当時の天皇の言葉は絶対であった。当時の臣下にとっては御聖断そのものだ。しかも天皇はそれより四ヶ月前の昭和十九年十月に特攻の上奏を受けた時に「そこまでしなければならなくなったのか・・・」と言っている。つまり日本軍の切羽詰った状況を知りながら、非現実的な絵空事のような希望を言ったのである。この言葉により軍人は「もう一度戦果を挙げなければ二度と講和の上奏は出来ない」と自縄自縛となり、日本の各地が空襲で焦土と化しても、沖縄が陥落しても、ポツダム宣言が出されても、原爆が二発落とされても、なお終戦を言い出せなかったのである。八月十五日の御聖断は「聖断」でもなんでもない。昭和天皇が半年前に言った御聖断の取り消しをしただけのことだ。昭和天皇が二・二六事件以来、自分の発言をしなかったという虚構、これと向き合わなければいつまで経っても日本の戦後は終わらない。
それにしてもこの昭和天皇の件を、不思議と日本のマスコミは取り上げない。「富田メモ」ごときよりも、こちらの方が歴史の検証としての重要性ははるかに高いのになぜ沈黙しているのか?。同じことは阪神大震災の、ヤクザ=任侠の働きの時もあった。この時もイギリスのメディアが「日本のマフィアが庶民を助けている」と写真つきで大きく報道したのに、日本のマスコミは触れなかった。(これは「富田メモ」から外れるので後日詳しく書く)。ここに社会の木鐸としての使命を放棄した御用マスコミの姿勢が顕著である。今、日本政府の姿勢は「戦争の被害は等しく耐え忍ばなければならない」と、國と雇用関係のあった軍人軍属以外は原爆を除いては原則的に補償していない。終戦までは「戦時災害保護法」があり、空襲被害は国家補償の対象で住宅焼失は350円、負傷は治療全額補償されていた。それが戦後は治療費も出さない。民間の被害があまりにも大きすぎたので、戦争の被害は等しく耐え忍ばなければならない」という一括りで意図的に國の責任を放棄したとしか思えない。そしてこの民間の被害は昭和二十年になって飛躍的に増大したという事実。
A級戦犯が本当に「戦犯」であるなら、彼らは天皇の統帥権を侵したこととなり、茶番劇(強盗〔=欧米の既侵略国〕が、強盗未遂〔=欧米に後れて中国等に侵入〕を裁く)の東京裁判以前に、「逆賊」となる。日本軍が天皇の統帥権の下に動いていたのは紛れもない事実である。
これらに日本のマスコミが触れない以上、特に靖國賛成派、右派と言われる連中が率先して勇気を持って、天皇も含めて是々非々で戦争の総括をしないことには、いつまで経っても堂々巡りの不毛な分裂を残したまま、子孫に対して顔向けが出来ない世代となることを肝に銘ずべきである。
有志の忌憚のないメールを待っている ! !
肥しのウルフ爺さん
本日八月六日は残虐な原爆投下の広島六十一年目。原爆の爆死者、原爆の後遺症で亡くなった犠牲者の方々に対して、心より哀悼の意を表します。
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